「五一対四九でも五一が勝ち」


 ―かつて小沢さんは、これまでの政治はなあなあだった。きちんと決めないといけない。五一対四九でも五一が勝ちだとおっしゃった。それは変わりませんか?
 変わりません。選挙では一票でも足りなければ落選ですから。自社なれあい談合政治の中で僕も育ってきましたが、表は別にして裏では共産党を除いて常に全会満場一致なのですね。そのためにあらゆることが曖昧な話になって、妥協妥協でどっちつかずで、思い切ったことはできないということになってしまっていた。

御厨 貴, 牧原 出, 佐藤 信『政権交代を超えて――政治改革の20年』岩波書店(P.55)

 『政権交代を超えて――政治改革の20年』の小沢一郎議員のインタビューです。小沢さんは、「賛否両論の問題だとしても、一人でも多い人が賛成する政策を妥協せずやりきるべき」という意味で「五一対四九でも五一が勝ち」言ったのでしょうが、わたしはちょっと違う捉え方をしました。

 「五一対四九」となるような問題は、どっちでもいい問題も含まれるのではないでしょうか。選択肢が2つあっても「どっちもなんだかな」と思うような問題です。それでも、「五一対四九」で2ポイント多い方を選択する必要があります。その積み重ねで、例えば二大政党のどちらを政権与党にするか選択することになります。でも、なんとなくそういう決め方は後ろめたい気もします。

 ですから、「五一対四九でも五一が勝ち」という理念は、「小選挙区制になって政党の違いがわからないよ」という有権者の背中を押すものになるのではないかなと思います。


コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください