選挙制度改革なくして、解散なし?


 2012年8月23日現在、政府・民主党は、最高裁が2009年の衆議院選挙の一票の格差が違憲状態であると判断したことをふまえて、小選挙区5議席、比例定数40議席を減らすことを柱とする衆議院の選挙制度改革法案を、9月8日までに衆議院で採決する構えを見せています。野党の自民党、公明党はこれに反発し、衆議院で審議拒否し、参議院での首相の問責決議案の提出を検討しています。つまり、参議院でこの法案が可決、成立する見込みは、現状ないということです。

 さて、これは「解散の先送り」になるのでしょうか?

 これが解散の先送りになるには、「選挙制度改革法案が成立しなければ、衆議院の任期満了まで解散=選挙できない」という前提が必要となります。しかし、任期満了したときに選挙しないわけにもいかないことは明白です。「任期満了までに選挙制度改革ができるよう努力する」「選挙制度改革ができない前提で話すのはおかしい」という考え方もあるでしょう。ですが、実際、任期満了までに成案を得られなかったらどうするのでしょうか?

 また、もし解散や選挙ができないとすると、最高裁の要請による選挙制度改革法案によって首相の解散権どころか、国民の選挙権も制限されることになります。言い換えると、最高裁判所は国民の選挙権を奪うことができるということです。そもそも、裁判所は選挙を中止できるのでしょうか。

 できるわけがありません。裁判所が総選挙を差し止める判決を出したとして、選挙差止を実現する法的根拠が明らかでないからです。つまり、裁判所に選挙を止める力はありません。また、裁判所で定数配分を決めるのも無理です。裁判所が独自に公職選挙法を改正するが如き行為は、憲法第41条「国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。」に違反するからです。

 解散・総選挙の実施と選挙制度改革法案の成立は関係ないと見るべきです。

参考文献:柴田孝之『論文基礎力養成講座 憲法』(日本実業出版社)


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