もっと楽しく政治の話をするための国会のルール3


衆議院の優越

 次が衆議院の優越です。国会の議決は、衆議院と参議院が一致して議決したときに有効となるのが原則です。ある法案について、衆議院が可決、参議院も可決すれば法案が成立して法律になるという具合です。もし、衆議院と参議院の議決が一致しなかった場合は、法案は成立しません。ただし、法案については衆議院が可決したあと参議院が否決した場合に、衆議院の3分の2以上の賛成で再び可決した場合はその時点で法律になります。

 さらに、予算案の議決や条約の承認の議決は、衆議院が可決したあと参議院が否決した場合に、両院協議会という話し合いの場でも衆参で折り合いがつかないときは衆議院の議決そのまま国会の議決になります。内閣総理大臣の指名の議決も、衆参の指名が不一致で両院協議会の話し合いも不調に終わった場合は衆議院が指名した国会議員が内閣総理大臣になります。このように、衆議院と参議院の議決が異なったときは、条件付きで衆議院の議決が優先されます。

 では、参議院が議決をしなかった場合はどうなるでしょうか。いま述べた衆議院の優越は、衆議院と参議院の議決が違ったあとの決まりであるため、参議院が議案を議決しないで放っておいた場合は適用できないように思えます。そのようなケースもちゃんと想定されていて、衆議院で議案を可決後、憲法で決められた日数経過しても参議院が議決をしない場合は、衆議院の議決がそのまま国会の議決になります。これを「自然成立」と呼びます。自然成立の日数は、議案によって違い、内閣総理大臣の指名が衆議院の議決から10日、予算案と条約の承認が衆議院の議決から30日になっています。法案については、衆議院の議決から60日以内に参議院が議決しないときに、衆議院が「参議院は法案を否決したとみなす」という議決をすることができます。これを「みなし否決」と呼びます。カレンダーで表すと次のようになります。

衆議院の優越

 実は、国会について考えるときは日付の感覚が非常に重要なので、この日数は必ず覚えておいたほうがよいです。実用例はあとで詳しく書きます。

 ちなみに、法案は衆議院と参議院どちらから審議を始めてもよいのですが、予算案に関しては衆議院の議決が優先される関係上、必ず衆議院から審議を始めることになっています。衆議院の優越は、衆議院ですでに議案が議決されていることが前提になっているため、もし予算先議権がないと、参議院で予算をいつまでもいつまでも審議して議決せずに、衆議院で審議できない状況になってしまいます。そのため、必ず衆議院から予算審議をすることになっているのです。これを「予算先議権」と呼びます。


コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください