立憲民主党の国民民主党に対する会派合流の提案は、提案するだけで目的を果たしている


■立民が国民に衆議院の立民会派合流を提案

2019年8月11日現在。

新聞などでは、立憲民主党は国民民主党に「衆議院の」立民の会派に加わるよう呼びかけていると報道されています。対して、国民は衆議院と参議院で同時に「新たな会派」を結成するよう要請する方針を決めたとのことです。

■よくわからない菅元総理大臣のコメント

国民のこの決定に関しては、立民の菅直人元総理大臣が以下のように応じられないというニュアンスのコメントをしたとして、記事になっています。

国民の電力総連出身の参院議員が原発再稼働を認めているとして、「(立民が主張する)『原発ゼロ基本法』に同調できるのか。まず衆院から段階を踏んだ方がいい」(2019年8月11日読売新聞朝刊)

このコメントは一瞬わかったような気になりますが、よくわからないコメントです。国民の電力総連出身の参議院議員が立民の会派に加われない可能性があるというのはわかるのですが、衆院先行で国民が立民の会派に合流したあとに、電力総連出身の参議院議員を仲間にする方法が見えないからです。

電力総連には原子力発電関係の組織もあるので、電力総連出身の議員が勝手に「原発ゼロ」を主張する訳にはいきません。それは投票してくれた有権者に対する背信行為になりかねないからです。

菅元総理大臣は何を考えているのでしょうか。衆議院で国民が立民の会派に合流したという実績を作って、国民の立民への合流を既成事実として強引に国民の参議院議員を従わせようというのでしょうか。

■国民と維新の参議院での統一会派を潰すことが目的では?

おそらくそうではないでしょう。今回の立民の国民に対する会派合流の提案の目的は、最終的に立民と国民の会派を衆参で作ることにはないのです。それは言い過ぎにしても、合流が一番の目的ではないはずです。

そもそも、衆議院で立民は自分の会派の議席数に困っていません。衆議院では立民の会派70議席に対して、国民の会派の議席数は39議席と、立民は国民の2倍近い議席数であり、立民の野党第1会派の地位が危うくなることは、まずありません。

問題は、参議院です。参議院では立民の会派35議席に対して、国民の会派は25議席で10議席の差があります。しかし、日本維新の会の会派と国民の会派が統一会派を組むと41議席となり、立民の会派の議席数を上回ります。

事実、参議院の国民と維新で統一会派を組む構想があるという報道が先日ありました。しかし、この統一会派構想については、国民の玉木代表が立民の会派合流の提案を前向きに受け取ったため、維新側が反発しているそうです。(2019年8月7日 日本経済新聞朝刊)

つまり、今回の立民の国民に対する会派合流の提案は参議院の国民と維新の統一会派を潰すことが最大の目的なのです。

立民としては、会派合流の提案ひとつで、維新の国民に対する不信感を与えることで国民と維新の統一会派を潰し、更に立民に移りたい国民の議員や立民と絶対に一緒なりたくない国民の議員を動揺させて、国民を弱体させることができるのです。そして、あわよくば国民を立民が吸収する形で、野党の大きなかたまりを作ることもできます。

本当にそうなるかどうかは、国民側の対応によります。今後どう話が進んでいくか、面白そうです。


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