区割り法案、特別委で強行採決


■区割り法案強行採決

 2013年4月19日現在。1票の格差を是正するため内閣が提出した、衆議院の小選挙区を「0増5減」して区割りを変更する公職選挙法改正案、いわゆる区割り法案が「政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会」で強行採決されました。

 区割り法案をめぐる動きは、法案審議で起こるイベントのオンパレードだったので、非常に興味深かったです。

■4月15日・野党審議入りを拒否

 区割り法案の扱いについては、今週初めから揉めていました。4月15日、衆議院の議院運営委員会理事会で、区割り法案の審議入りについて話し合われました。この理事会では野党が審議入りを拒否し、話し合いは物別れに終わりました。

 国会は法案を審議するところです。国会で法案審議を主に担当するのがそれぞれの委員会です。区割り法案の場合は、「政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会」という長い名前の委員会で審査することになります。

 ところが、委員会で審査するには、法案を委員会に付託しなければなりません。原則として、法案が委員会に付託されなければ、委員会での法案審査は行われません。法案の付託は議長の権能ですが、議長の諮問機関でもある議院運営委員会が実質的に決めています。

 また、法案を委員会に付託する前に、その法案の趣旨説明を本会議で行うことがあります。これを決めるのも、議院運営委員会です。趣旨説明を行うことが決まったら、趣旨説明が終わるまで委員会に付託されません。趣旨説明が終わって初めて、法案の委員会審査が始まります。

 野党は議院運営委員会理事会で、区割り法案を、本会議での趣旨説明を省略して特別委に付託することを拒否したのです。

■4月16日・与党強引に付託

 4月16日午後。与野党の幹事長・書記局長会談が開かれました。与党は改めて0増5減の区割り法案を、衆議院議員定数の大幅削減に先行して処理することを求めましたが、野党はやはり拒否しました。

 4月16日夜。議院運営委員会理事会が開かれ、話し合いが持たれましたが、与野党の意見は折り合いません。ついに、議院運営委員長の職権により、議院運営委員会の開催が強行されます。

 委員会を開いたり、委員会の議題を決める権限は委員長が持っています。ですが、それら委員会の議事進行の決定については、各委員会の理事会で行うことになっています。そして、理事会の決定は理事の全会一致によってなされるのを原則としています。委員長が、その職権で委員会を開くのは尋常な議事運営ではありません。これに反発し、共産党を除く野党は、議院運営委員会を欠席することになります。

 この日の議院運営委員会で、区割り法案について、本会議での趣旨説明を省略して「政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会」に付託することが議題とされます。この議題は、共産党以外の野党が欠席する中、自民公明両党の賛成で可決され、特別委員会で区割り法案を審議する準備が整いました。

■4月17日・野党全面審議拒否

 前夜の強引な国会運営に野党が反発し、党首討論が行われる国家基本政策委員会以外のほとんどの委員会の出席を拒否します。そのため、各委員会は流会になったり、委員会を開いたものの、審査に入るにいたらなかったりしました。

 そんななか、特別委の理事懇談会が開かれます。ここで、与党は野党に18日に区割り法案の趣旨説明と質疑を行い、19日採決する日程を提示します。野党はこれを拒否し、18日に特別委を開くことは、特別委の委員長職権で決定されました。

■4月18日・野党審議復帰

 4月18日。野党欠席のなか開かれた特別委で、趣旨説明と質疑が行われ、区割り法案は審議入りしました。と同時に、衆院選挙制度改革に関する実務者協議が開かれます。この実務者協議が開かれることによって、野党は特別委を除いて審議に復帰します。

 この日、野党各党は伊吹衆議院議長に与党の強引な国会運営への抗議を申し立てます。議長から与党へ、野党に配慮した国会運営を行うよう働きかけるよう求めたのです。このように、与野党が対立してどうにもならないときは、議長が間にはいって調整することがあります。これを議長あっせんと呼びます。

■4月19日・議長あっせんと強行採決

 4月19日。伊吹議長は区割り法案に関する与野党対立の打開に向けたあっせんに乗り出しますが、合意にいたりませんでした。ついに、民主党や維新の会などが欠席する中、特別委で区割り法案が可決されます。強行採決です。

 強行採決とは、多数派が強引に採決してしまうことです。本来なら、与野党すべての党が出席したなかで審議し、採決しなければならないのに、力任せに採決してしまうので「強行」とつくのです。与党は多数派だから与党なので、すべての議題を即採決していたら、すべて与党の思うがままになるに決まっています。それでは意味がないのです。

 ただ、何も決まらないのも困りものなので、強行採決も使い方次第というところがあると思います。今回はどうなのでしょうか。

■典型的な与野党対立

 一見荒れているように見えますが、一連の動きをみると、典型的な与野党対立型の国会審議となっています。すべての動きが、国会審議の「お作法」から外れていません。むしろ、民主党などの野党は審議拒否を一日でやめてしまったので、おとなしいくらいです。なんにせよ、これで区割り法案の衆議院通過は、本会議での採決を待つばかりとなりました。


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