最適化を終点にするのではなく、常に現実に最適化させ続けること


■「現実と戦わない」

最適化自体は悪いことではないと思います。問題は、現在の最適化を絶対のものにして動かさないようにすることです。

「タスク管理するとき、現実と戦わないほうがいい」これは、ビジネス書を多数書かれている心理学ジャーナリストの佐々木正悟さんが、最新作の『やめられなくなる、小さな習慣』の出版記念セミナーでお話しされていたことです。どういう意味かというと、次のような例を出していました。「子供が生まれる前に夜中に仕事をするスタイルだったとして、子供が生まれたあとにもスタイルを守るために『寝かしつけてから、起きて仕事をしよう』と考えたのにもかかわらず朝まで寝てしまったとする。そのときは朝起きて自分を責めるのではなく、子供と一緒に寝ることを前提として朝仕事をすることを試みた方が良い」

■ある時点での最適化を守ろうとすると、しんどい

子供が生まれる前のスタイルを守ろうとするのは、ある時点での最適化を守ることです。しかし、現実として子供は生まれ、以前の均衡は破れてしまっています。それなのに、かつて最適化された習慣を守ろうとするのは無理があります。かつての最適化を、いわば習慣の終点としてしまって動かそうとしないのならば、現実にあった新しい習慣を生み出すことはできません。

■現実を変えれば行動は変わる。しかし…

そして、逆に言えば現実を変えてしまえば新しい習慣を作ることが楽になる可能性が出てくるということでもあります。いま、国会で実質的な法案審議が行われていないのは、全ての政党の行動が現在の制度に最適化しているためです。もし、新しい制度を作ることができたとしたら、新しい制度に合わせて政党の行動が変わり、今までと違う国会になるかもしれません。

ただ、悩ましいのは、新しい制度に現実が変わってしまっているため、以前良かったと思ったものが良く思えなくなるかもしれないところです。そういう例が、中選挙区制から小選挙区比例代表並立制に変えた平成の政治改革だと思います。

それでも、ある時点での最適化にこだわらず、常に現実に最適化させ続けるべきです。終わることのない最適化の試みが、新しいものを生み出すからです。


Posted from するぷろ for iPhone.


コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください