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2019年の通常国会での内閣不信任案提出を巡る、野党の右往左往


 2019年7月7日現在。

今年の通常国会が会期を終え、政治の話題は完全に参議院議員選挙に移りました。 今年の通常国会は、衆議院の解散がいかに議員に影響を与えるかということがよくわかるものでした。

■2019年の通常国会に向けて、「温存」した内閣不信任案

昨年、2018年の臨時国会の会期末では、立憲民主党と国民民主党とで内閣不信任決議案の提出の方針が割れたという報道がありました。内閣不信任案の提出を求めた国民民主党に対し、立憲民主党は参議院選挙の直前となる今年の通常国会の会期末に提出する内閣不信任案を盛り上げるため、内閣不信任案の提出を拒んで「連発」を避けたということです。(時事ドットコム『内閣不信任案で足並み乱れ=立憲・国民』2018/12/08-01:15)

この報道によれば、立憲民主党は昨年末の臨時国会で内閣不信任案を温存して、今年の通常国会の会期末で内閣不信任案を提出する気満々だったということです。

■衆参同日選の観測で、いったんしぼんだ内閣不信任案提出の熱意だが…

しかし、「安倍総理大臣は、衆議院を解散して衆議院と参議院の同日選挙を狙っているのではないか」という観測が出ると、立憲民主党の幹部の中に内閣不信任案提出慎重論が出ているという報道が出始めました。この内閣不信任案提出慎重論は、5月下旬に菅官房長官が「内閣不信任案が提出は衆議院を解散する大義になりうる」と記者会見で質問に答えたことで、ピークに達します。5月30日の日経新聞朝刊には、野党5党派の党首会談で内閣不信任案の国会提出について話し合い、「様々な政治状況を判断したうえで、改めて状況によって相談させてもらう」(立憲民主党:枝野代表)、「今回は年中行事のように出すものではない」(国民民主党:玉木代表)、「党首会談で合意したのは、よく相談していこうという一点だ」(日本共産党:志位委員長)となんとも煮え切らない態度を示しています。

ところが、徐々に同日選見送りの方向がみえてきた6月上旬には、野党党首は一転して内閣不信任案の提出に前向きになります。はっきりと内閣不信任案を出さないほうがいいというようなコメントを出した玉木代表などは「不信任に値する点は多々ある。枝野代表が出すというのであれば協力したい」(日経新聞6月12日朝刊)と正反対のコメントを出しています。

■枝野代表、驚愕の方針転換

このまま内閣不信任案を出すのかなと思いきや、6月16日に枝野代表は「参院選に挑むので、首相の問責決議案を産院に出すのが筋ではないか」(日経新聞6月18日朝刊、読売新聞6月18日朝刊)と意味不明な理論で内閣不信任案の提出をしないかのようなコメントをだします。意味不明というのは、「野党は通常、可決されても法的拘束力のない問責決議案より、内閣総辞職を迫る内閣不信任案を重視する」(読売新聞6月18日朝刊)からです。しかも、内閣不信任案を提出しない理由は「衆議院の解散がなさそうだから不信任案を出す、と思われるのはしゃくだ」(日経新聞6月18日朝刊、読売新聞6月18日朝刊)という信じられないような子供っぽいものでした。当然、内閣不信任案を出す気になっていた他の野党党首はこのコメントに猛反発しました。

結局、6月19日に行われた党首討論で安倍総理が解散しない意向を示したことで、枝野代表も再び内閣不信任案の提出に傾き、6月25日に立憲民主党や国民民主党などは内閣不信任案を提出しました。

■野党の右往左往からわかること

この内閣不信任案提出を巡る野党の右往左往っぷりはなかなかのものでした。一番驚愕したのは、枝野代表が急に参議院の首相問責決議案だけ出すと言い始めたことです。理由も自分の面子しか考えていないかのようなものでしたし、たまげました。普通に考えると、「衆議院の解散がなさそうだから不信任案を出す、と思われるのはしゃくだ」というのは建前?で本当は内閣不信任案の提出で解散を誘発したくなかったんだろうと思うところですが、「嘘つき呼ばわりされるのは我慢ならない」と言って解散して、多くの仲間を巻き添えにして自分の面子を守った野田前総理大臣がいる以上、本気の可能性を捨てきれません。旧民主党政権の閣僚に共通する考え方なのでしょうか?

それはともかく、野党を右往左往させたのは、総理大臣が持つ「衆議院の解散権」であることは間違いありません。このことは、教科書で三権分立の説明図で出てくる、内閣から国会に対する牽制手段としての解散権の威力を非常にわかりやすく示しています。衆議院の解散とは、衆議院議員全員を問答無用で辞めさせて有権者が選び直すことなので、再選が厳しい国会議員にとっては落選のリスクをもたらす非常に厳しいものです。

報道によれば、野党は内閣不信任案の提出は有権者に政権と対決している姿勢を示す重要なカードと思っている一方、解散総選挙は困るという立場であったわけです。内閣不信任案を巡る野党同士の混乱は、なんというか、追い風を作れず、風に乗れない野党に取れる手段はほとんどないという現実を見せつけられました。

何が悪いのかといえば、野党の議席が少ないのが悪いです。選挙に勝って議席を増やさなければ何もできないのです。