月別アーカイブ: 2019年5月

議員辞職勧告決議案とは


■野党6党派、議員辞職勧告決議案を衆議院に提出

2019年5月19日現在。 先週5月17日に立憲民主党などの野党6党派が、丸山穂高衆議院議員に対する議員辞職勧告決議案を衆議院に提出しました。丸山議員の北方領土関連の発言を問題視したものです。提出した6党派には、丸山議員を除名した日本維新の会も入っています。

■強制力はない「辞職勧告」

議員辞職勧告決議案は、院として所属議員に辞職を勧告するものです。あくまで「勧告」なので、決議案が可決されたとしても自動的に丸山議員の衆議院議員としての身分が失われるものではありません。

『新・国会事典』によると、議員辞職勧告決議が決議されて議員辞職した議員はいないそうです。強制力がないため、議員辞職勧告決議を決議して対象の議員に無視されてしまうと、かえって国会の権威に傷がつくような気がします。

また、議員辞職勧告決議が決議された議員は、いずれも決議案を出された時点で逮捕や起訴されているため、今回発言のみを理由に決議案を出すのは適切なのかという問題もあります。

■強制力のある「除名」

では、国会に国会議員を辞職させる手段がないかというと、そうではありません。国会は院内の秩序をみだした議員を懲罰することができます。この懲罰の種類のうち、最も重いものが議員の地位を失わせる「除名」です。議員を除名する場合、出席議員の3分の2以上の賛成が必要です。除名した議員は議員の地位を失いますが、次の選挙で当選すればまた国会議員になれます。

懲罰により除名された議員としては、戦前に日中戦争に対する政府の方針を批判したことで懲罰の対象となった、斎藤隆夫衆議院議員がいます。


党首討論があまり開催されない理由


■今国会初の党首討論開催の見通し

2019年5月12日現在。
 先週、5月8日の読売新聞朝刊に、今国会初の党首討論が今月下旬にも開催される見通しとなったという記事がありました。

党首討論は、総理大臣と野党各党の党首が直接対面して討議を行います。時間は45分間で、45分の割り振りは野党間で調整します。

この党首討論は、国家基本政策委員会の合同審査会として行われます。合同審査会とは衆議院と参議院の常任委員会が合同して審議を行うものです。党首討論は水曜日午後3時から実施することになっています。

■党首討論開催には厳しい制約がある

毎週水曜日に党首討論が開かれてもよさそうですが、ある制約があるためそうはいきません。総理大臣が国会に出席する予定がある週は党首討論を開かないことになっているためです。その趣旨は、総理大臣の国会出席の負荷を軽減することです。

考えてみるとこの制約はなかなか厳しいです。150日の会期がある通常国会でも、3月までの3ヶ月間は予算審議があります。予算審議中は、野党の要求もあり、週一回以上のペースで総理大臣が国会に出席する場合があります。そのため、取り決め上、3月下旬くらいまでは党首討論を開くことができません。

予算審議が終わっても、野党の要求により法案の趣旨説明に対する質疑の答弁を総理大臣が行うことがあります。党首討論以外で総理大臣を国会に出席させるため、どんどん党首討論が後回しになっていきます。会期終了まで50日を切った段階で初めて党首討論の開催が議論されるのは、そのためです。

■野党にとって使い勝手が悪い党首討論

時間が45分間と短いこと、党首しか討議に参加できないこと、党首討論を行う週は総理大臣を45分しか国会に出席させられないことから、予算委員会の集中審議などと比べて「使い勝手の悪い制度」と野党からみなされているようです。使い勝手がよければ、野党は法案の趣旨説明の質疑で総理大臣の答弁を要求したり、やたら予算委員会の集中審議の開催を求めたりはしないでしょう。

読売の記事によれば、現在は野党が分裂しているため、党首討論の持ち時間45分を各党で配分すると持ち時間が5分〜15分くらいになってしまうそうです。この5分〜15分には総理大臣が答える時間も含まれているので、総理大臣がたくさんしゃべると一往復しか討議できない可能性もあります。

そのため、党首討論の持ち時間を45分から延長することを野党は求めているようです。