月別アーカイブ: 2014年3月

野党共闘はうまくいっていない


 2014年3月6日現在。衆議院に圧倒的な野党第一党が存在しないことで、野党共闘は困難になっています。

 時事通信で、以下の報道がでました。

みんなの党の山内康一国対委員長は5日、民主党の松原仁国対委員長と国会内で会い、日本維新の会と結いの党が衆院で統一会派を組む可能性が取り沙汰されていることに関し、「仮に統一会派ができた場合には野党の国会対策協議の枠組みから外すべきだ」と述べ、維新と結いをけん制した。

『時事ドットコム:維新・結いの会派統一をけん制=みんな』

 国会運営の与野党協議は、与党第一党と野党第一党で行うことが原則になっています。野党第一党は野党をまとめることが前提の仕組みです。

 しかし、衆議院では野党第一党の民主党と第二党の日本維新の会の議席差がわずかであるため、うまく動いていません。

 みんなの党にしても、与党に協力する姿勢をみせており、対決姿勢を示している民主党と共同歩調をとるところが少ないです。

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総務懇談会は官邸と与党の協力関係の強化につながるか注目


 2014年3月5日現在。2014年度予算案の衆議院での審議は与党ペースで進みました。その与党の意思決定は、官邸主導で行われています。総務懇談会を開くことは官邸が与党の意思を尊重する姿勢をみせたものです。

 自民党が今月17日に集団的自衛権について話し合う総務懇談会を開くということが報道されています。総務懇談会は、自民党意思決定機関である総務会のメンバーによる非公式な会合です。以下は時事通信からの引用です。

懇談会の開催は、安倍晋三首相の政権運営に批判や不満の声が出始めたことを受け、党務や政策に関する審議のため週2回行われる総務会とは別に、メンバーの意見を聞くのが狙い。

『時事ドットコム:自民、17日に総務懇談会=集団自衛権など討議』

 また、本日付の日経朝刊によれば、総務懇談会の開催は9年ぶりです。記録に残っている最後の総務懇談会では、自民党が分裂した郵政民営化についての議論が行われました。

 官邸からすると、官邸に不満がある議員のガス抜きにしたいところだと思います。ただ、総務懇談会で議員が官邸に反対したことが大きく報道された場合、官邸としてはなんらかの対応を行わざるを得なくなる可能性があります。意見を言ったのにほっておかれて、いい気がする人はなかなかいません。

 与党による官邸批判というリスク回避になるのか、新たなリスクの発生源になるのか注目です


参議院での予算審議スタート


 2014年3月4日現在。昨日の参議院予算委員会では、首相をはじめ全閣僚出席の基本的質疑が行われました。参議院での予算審議のスタートです。参議院インターネット審議中継の審議収録時間はおよそ7時間でした。

 今後の予算審議はどうなるでしょうか。衆議院と参議院では野党の構成が違うため、衆議院と同じ展開になるかどうかはわかりません。参議院では、民主党が押しも押されもせぬ野党第一党です。ですから、参議院では民主党主導の野党共闘が実現しやすいのではないかと思います。

20140304審議実績


参議院予算委員会の2014年度予算審議予想


 2014年3月3日現在。本日から、参議院予算委員会で2014年度予算案の審議が始まります。NHK NEWSWEBによれば、与党は今月20日までに予算案を参議院で可決・成立させたい考えだそうです。以下、NHKからの引用です。

予算案は、憲法の規定で、仮に参議院で議決されなくても今月末に成立しますが、与党側は、来月の消費税率引き上げによる景気の落ち込みを最小限に抑えるためにも、今月20日までに成立させたいとしています。

『参院予算委 新年度予算案実質審議入りへ NHKニュース』

 与党の目論見どおり20日に採決し、平日すべてで参議院予算委員会が開かれた場合、スケジュールは以下のようになります。最大、衆議院と同じ14日間での採決ということになります。

20130303審議予想


2014年度予算案、衆議院予算委員会審議実績まとめ


 2014年3月2日現在。2014年度予算案の衆議院予算委員会での審議実績をデータで振り返ってみましょう。

    衆議院予算委員会 2014年度予算案審議実績

  • 基本的質疑:3回
  • 一般質疑:3回
  • 集中審議:4回
  • 地方公聴会:1回
  • 中央公聴会:1回
  • 分科会:1回
  • 締めくくり質疑、討論、採決:1回
  • 予算委員会開催回数:14回
  • 基本的質疑・一般質疑・集中審議・締めくくり質疑の総質疑時間:70時間
  • 総質疑時間にしめる集中審議の比率:40%(28時間/70時間)

 2014年3月1日付読売新聞朝刊によれば、予算委員会開催回数は、予算審議が現在の形式になった2000年とならび最短です。

 また、同じく読売新聞によれば、基本的質疑・一般質疑・集中審議・締めくくり質疑の総質疑時間は、現制度になって3番めに短いものになりました。ちなみに、最短は2007年(第一次安倍内閣)の66時間30分(15日間)。次点は2010年(鳩山内閣)の69時間10分(17日間)。

 ただ、総質疑時間にしめる集中審議の比率は40%と、昨年の46%に続き依然として高いです(2013年4月11日付読売新聞朝刊によれば、2009年は23%(16時間55分)、2010年は24%(16時間30分)、2011年は29%(24時間30分)、2012年は38%(34時間))。
201402予算審議実績


内閣改造の報道が出たのは、与党議員に国会運営を頑張らせるため


■2014年度予算案、衆議院通過

 2014年3月1日現在。予算案のスピード可決は、国会で野党との折衝をしている与党議員に多大な負担を与えているのではないでしょうか。先月末から内閣改造(大臣の交代)が取り沙汰されているのは、国会の日程調整に関わっている与党議員のやる気を出すために官邸から出た情報だと思っています。

 昨日、2月28日に2014年度予算案が衆議院本会議で可決されました。予算案は参議院に送付され、憲法の規定により2013年度内に成立することが確実になりました。歳出総額は95兆8823億円で、昨年の92兆6115億円から3兆2708億円増えました。伸び率にして3.5%の増加です。

■政府の日程で、予算審議が窮屈に

 安倍首相の外遊を優先したこともあり、今国会の開会は1月末にずれ込みました。今年の予算審議が14日間という異例の短さになったのは、国会の開会が遅れたにも関わらず2月末の衆議院通過を目指したことが原因のひとつです。

 政府の都合でスケジュールが厳しくなって、与党が汗をかいて間に合わせている格好です。国会審議の現場の議員には、かなりストレスがたまっているのではないでしょうか。昨年の臨時国会で成立した、特定秘密法案の審議も同じような形で審議スケジュールが厳しくなっていて、与党から政府に注文がついています。

■内閣改造で不満を抑える

 その不満を抑えるための内閣改造です。今国会で頑張って政府案をスケジュール通り成立させれば、大臣になれるかもしれないのです。頑張りがいがあります。

 政界ものの読み物で、内閣改造が首相の切り札のひとつのように描かれていた意味がやっとわかってきました。いままでは、経験と知識を蓄積するためになるべく大臣を交代させないほうがいいんじゃないかと思っていたんですよね。

 ですが、大臣だけで行政が動くわけではなく、行政だけで政治が動くわけではありません。国会を通さなければいけないのです。その国会で頑張る議員を処遇するためには、内閣改造が必要なのです。