月別アーカイブ: 2014年3月

大臣が持つ拒否権

2014年3月31日現在。首相の進める政策に慎重な議員を大臣にすることは、反対を抑えることができる一方、内閣を危機に陥らせる可能性もあります。

首相と大臣の意見が違うと、「閣内不一致」だと野党から攻撃されるので、首相の政策に慎重な大臣は、首相の政策に合わせるか、自らの主張をトーンダウンします。

そもそも、なぜ閣内不一致が問題なのでしょうか。手続き上の理由としては、内閣として意思決定する閣議決定が、全会一致形式であることがあげられます。全会一致ということは、1人でも反対したら決められません。1人1人が拒否権を持っているわけです。

例えば、集団的自衛権の行使を容認するには、「日本国憲法は集団的自衛権の行使を認めていない」という憲法解釈をした1981年の政府答弁を否定する閣議決定を行わなければなりません。ということは、憲法解釈変更の閣議決定をするときに、1人でも反対があったらピンチになります。

閣議決定に反対の大臣が出たとき、首相には2つの選択肢しかありません。閣議決定をあきらめるか、反対する大臣を罷免して自らがその大臣を兼務し、全会一致にすることです。

Posted from するぷろ for iPhone.

ねじれ国会は、いつでも起こりうる

 ねじれ国会が終わったからといって、参議院の存在感が低下したと思ったら大間違いです。ねじれ国会が終わったということは、野党に代わって参議院与党の力が更に高まったということです。

■参議院の賛成がないとめんどくさい

 一部の議案や手続きを除いて、参議院の賛成なしに成立するものはありません。衆議院と参議院が、同一会期中に賛成して議案が成立するのが原則です。つまり、参議院が反対したらなにもできません

 なにもできないというのは言い過ぎかもしれません。少なくとも、与党の政権運営が非常に困難になる実例を、参議院で与野党の議席数が逆転したねじれ国会で見てきました。このねじれ国会は、昨年の参議院選挙で与党が勝利したため、解消されました。

■与野党逆転以外のねじれ国会

 でも、ねじれ状態は野党が多数派でなければ起こらないわけではありません。参議院の与党が、官邸や衆議院と反対の動きをしてもねじれ状態になります

 これも、実例があります。2005年の郵政解散は、参議院で郵政民営化法案が否決されたことで起きています当時の参議院は、与党が多数派だったのにもかかわらず否決されました。まさに、ねじれ状態です。

 集団的自衛権の行使容認をめぐって、参議院自民党の幹部である脇参院幹事長の発言がクローズアップされるのも、参議院自民党の影響力が大きいためです。

自民党総裁直属機関『安全保障法制整備推進本部』設立

2014年3月25日現在。自民党は集団的自衛権の行使容認についての考えを共有するための新組織である、『安全保障法制整備推進本部』を立ち上げました。

自民党の石破幹事長の記者会見を見ると、『安全保障法制整備推進本部』は自民党の政策を決定する機関ではないことが強調されています。石破幹事長のなかでは、新組織は、あくまでも集団的自衛権の行使容認に対する自民党の考え方を共有する機関であるというスタンスのようです。

Posted from するぷろ for iPhone.

大島さんと漆原さん

 3月23日付の日経新聞朝刊の「自民各派、勉強会で慎重論」という見出しの記事には、以下のような記述もありました。

 大島氏は慎重論の根強い公明党とパイプを持つ。

(日経新聞『自民各派、勉強会で慎重論』)

 この記事の「大島氏」とは、前副総裁の大島理森衆議院議員のことです。大島さんとの関係が深い公明党の議員というと、漆原国対委員長が思い浮かびます。民主党が政権を取る前に、お互い与党の国対委員長を務めています。

 水内茂幸『居酒屋コンフィデンシャル』という本があります。この本は、産経新聞の記者である著者が、議員と酒食をともにしてインタビューをするという内容になっています。この本に大島さんも漆原さんも取り上げられています。

 漆原さんのインタビューには、大島さんとの関係や国対委員長として民主党の政権運営をどう思うかなどが書いてあり、非常に面白いです。

 「(引用者註:民主党の政権運営を)みていると、自動車教習所の教官のような気持ちになるんだ。思わず助手席のブレーキを踏みたくなる。僕は国会対策だから『ここで法案出さないと大変だぞ』『そんなことしたら危ない』とハラハラしちゃう。」

水内茂幸『居酒屋コンフィデンシャル』新潮文庫)

町村派は409分の89

 2014年3月23日現在。報道により、集団的自衛権の行使容認を巡る自民党各派の態度がわかってきました。

 本日付の日経新聞朝刊に「自民各派、勉強会で慎重論」という見出しの記事がでました。内容は、自民党内の派閥によって、集団的自衛権の行使容認に対する態度に差があるという内容です。

 安倍晋三首相の出身派閥である町村派は行使容認を後押しする姿勢だが、額賀、岸田、大島各派などは慎重論を強めている。

(日経新聞『自民各派、勉強会で慎重論』)

 昨日買った『政官要覧』を早速参照してみます。町村派は衆参で89人の所属議員を擁しています。党内最大派閥です。日経の記事に出ている額賀派は54人、岸田派は44人、大島派は13人です。慎重派の派閥の議員数は積極派の町村派の議員数を上回ります。

 自民党の総議員数は409人です。町村派は自民党の4分の1もありません。派閥を超えて集団的自衛権の行使容認を訴えていかなければ、党論を統一できません。

 他の派の態度も知りたいですね。

政官要覧を買った

 『政官要覧』という本を買ってみました。政官要覧は、国会議員のプロフィールから、官庁幹部職員の人事データが載っている本です。

■自民党の派閥別議員一覧をみたい

 最近、自民党内の動きに注目しています。集団的自衛権の行使容認を巡る議論が盛り上がっているからです。そこで、自民党内の動きを知るために、派閥の数や規模をおさえておこうと思いました。報道では、集団的自衛権の行使容認に積極的な町村派、慎重な岸田派という見方が出ていて、派閥の規模感や誰がどの派閥に属しているのかを知っていたほうがいいと考えたのです。

 政官要覧の党派別議員一覧では、自民党だけ「派閥別議員一覧」になっているため、誰がどの派閥に属しているかは一目瞭然です。派閥に所属している議員数もすぐわかります。

■議員にも注目

 類書に『国会便覧』や『国会議員要覧』という本もあります。政治の制度と手続きを中心に、今後は議員にも目を向けていきます。 政官要覧 H26S

2014年度予算、参議院予算委員会審議実績まとめ

 2014年3月21日現在。2014年度予算の参議院予算委員会での審議実績をデータで振り返ってみましょう。

    参議院予算委員会 2014年度予算審議実績

  • 基本的質疑:3回
  • 一般質疑:4回(うち1回は3/20に1時間)
  • 集中審議:5回(うち1回は3/20に2時間30分)
  • 中央公聴会:1回
  • 委嘱審査:2回
  • 締めくくり質疑、討論、採決:1回(3/20に2時間30分)
  • 予算委員会開催回数:14回
  • 基本的質疑・一般質疑・集中審議・締めくくり質疑の総質疑時間:64時間
  • 総質疑時間にしめる集中審議の比率:44%(28時間/64時間)

 昨日20日付の日経新聞朝刊に、民主党の榛葉(しんば)参議院国対委員長が「集中審議は衆院と同じ時間だ」と言ったという記事が出ていましたが、私のカレンダーで数えても28時間で同じです。私の作ったカレンダーも、そこそこ正しいようです。

参議院予算審議 201403212

2014年度予算案、可決・成立の見込み

 2014年3月20日現在。本日、参議院予算委員会は2014年度予算案を採決、与党の賛成多数で可決される見込みです。予算案は、本日の本会議に緊急上程され、可決・成立する見込みです。

 本日付の日経新聞朝刊によると、審議入から39日での成立は戦後3番目の早さだそうです。今国会が与党ペースで進んでいることが、数字で示されている一例です。 参議院予算審議 20140320

与党盤石だからこそ出てくる議論がある

 2014年3月19日現在。来年度予算案がすんなり通り、「与党盤石」という見方が広がれば、思いっきり議論をしようという与党議員がいてもおかしくはありません

■与党ペースだからこそ議論が盛り上がる

 明日20日に2014年度予算案を採決することで、与野党は合意しています。国会は依然、与党ペースで進んでいます。これだけ与党の一人勝ち状態が続くと、少々党内が揺れても大丈夫じゃないかと思う人がでてきてもおかしくありません。

 補欠選挙を除けば、国政選挙も当分ありません。そうすると、例えば集団的自衛権の行使容認を巡る議論で、「首相とは違うが、自分の意見を言いたい」という人が出てくるかもしれません。与党が盤石になればなるほど、党内で議論が盛り上がる可能性もあるのです

 集団的自衛権の行使容認を巡る動きは、憲法上重要なテーマがどのようなプロセスで決まっていくのかと、与党と政府の綱引きがどういう風に行われるかという2つのことがわかるので非常にお得な話題です。

首相に今夏の大臣ポストを握られている各派

 2014年3月18日現在。夏には内閣改造が予定されています。自民党の派閥は現在の大臣ポストだけでなく将来の大臣ポストも人質に取られています。集団的自衛権の行使容認を巡る議論で、自民党内の各派はどれだけ存在感を示せるのでしょうか。

■自民党の各派は内閣改造で将来の大臣ポストも握られている

 岸田派の幹部が大臣になっているため、集団的自衛権の行使容認を巡る議論で岸田派として存在感を示しにくなっているという話があります。ただ、これは岸田派だけの問題ではありません。

 今夏には内閣改造が予定されていて、各派の入閣を待望している議員も言動が慎重にならざるを得ないのではないでしょうか。大臣になりたかったら、安倍首相の意に沿わないことはしないということです。

 ただ、早い段階で批判的なことを言って自分を高く売り、口封じということでよりよいポストを手に入れようという人も出てくるかもしれません。ですから、内閣改造だけで党内を統制できるかというとそうでもないかもしれません。