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竹下内閣総辞職表明で国会は正常化しなかった


■内閣総辞職で国会審議が進む?

 2018年3月14日現在。

 森友学園関連の問題で、国会審議が遅れています。

 昨日のNHKの記事に村上元行政改革担当大臣のインタビューが出ていました。村上代議士は自民党内で安倍政権に苦言を呈する人としてメディアによく出ています。

 記事に次のような記載があります。

安倍総理大臣には行政の長として責任があり、猛省すべきだという考えを示しました。そのうえで、「竹下総理大臣の時に予算の成立と引き換えに大所高所の判断をしたことがあった。予算案や関連法案があるので、そろそろ大所高所の判断をすべき時期に来ているのではないか」と述べました。

『自民 村上氏「はっきり言って全部出発点は安倍首相 猛省すべき」 | NHKニュース』

 村上代議士の言う「大所高所の判断」とは、内閣総辞職のことです。

■竹下内閣の総辞職表明

 『誰でも読める日本史年表』(吉川弘文館)によると、1989年4月25日に竹下首相は政治不信の責任をとるため、予算案成立後に内閣総辞職することを表明したそうです。「総辞職するので予算案は成立させてくれ」ということです。

 野党が審議に応じないから総辞職するのですから、総辞職を表明したあとであれば野党が審議に復帰して国会審議が正常化することを期待したと思います。

 しかし、同年4月27日の議事録をみると、衆議院予算委員会での予算案の採決は野党欠席のなか行われています。内閣総辞職の表明をしたからといって、国会が完全に正常化したわけではなかったようです。

 さらに、翌28日の衆議院本会議での予算案採決は与党単独採決となりました。これは憲政史上初、つまり戦前を含めても初めてのことでした。

 事実として、竹下首相の内閣総辞職の表明は国会審議の正常化につながらなかったと言えるでしょう。

■野党なら総辞職ではなく解散を求めるべき

 また、内閣総辞職しても政党の再編や連立の組み直しが起こらなければ、確実に次の政権も自民党と公明党の連立政権になります。内閣総辞職は政治の枠組みをほとんど変えません。

 内閣総辞職は与党の非主流派を喜ばせるだけで、野党になんの利益ももたらしません。

 野党は今こそ、内閣総辞職ではなく衆議院の解散を求めるべきです。


政府と与党は別物


 2018年3月5日現在。

 国会に関する報道をみていると大きく分けて3つの登場人物がでてきます。政府と与党と野党です。

 この3者のうち、政府と与党は構成員が重なる点はありますが、基本的に別物です。

 政府を構成しているのは、役所の職員である官僚と、与党議員の一部が任命されている大臣や副大臣、政務官です。

 日本では議院内閣制をとっているため、与党の支持がなければ政府は存続できません。

 また、日本の政治の仕組みでは政府が国会審議をコントロールする手段ありません。そのため、政府は与党の協力がないと法案審議を進めることができません。

 2018年3月2日付けで、NHKが働き方改革法案をめぐる政府と与党のやりとりをとりあげています。

 記事の中で自民党の森山国会対策委員長がこう述べています。

「国会運営について、官邸から『こうしろ』『ああしろ』と言われたことはない。お互いの立場を理解しておかないと。私が行政権に入っていったり、また、政府が立法権に入ってくるとおかしくなるから。そこはしっかりわきまえている」

『「裁量労働制」削除 “あれ?いつもと違う” | NHKニュース』

 この言葉から政府と国会は、三権(立法権・行政権・司法権)の行政権と立法権という立場の違いがあるという意識が建前として存在することがわかります。

 与党議員の意見がすべて政府に採用されることはないため、与党議員のなかには政府に不満を持つ人も出てきます。

 政府に不満を持つ与党議員と野党議員が連携する事態に陥ると、選挙を経なくても政権交代が起こる可能性があります。

 どういう場合かというと、内閣不信任案が与党議員の一部と野党議員の賛成で可決する->内閣総辞職する->与党議員の一部と野党議員の支持を受けた議員が首班指名選挙で勝つ->新内閣成立、という場合です。

 ただ、内閣不信任案が可決された内閣は総辞職の他に衆議院の解散をすることもできるので、普通は解散総選挙になると思います。